このレンズについて
2018年2月に発売された高倍率ズームレンズ。
このレンズ以前のAPS-C向け標準ズームといえば
- クソ高いSEL1670Z
- ズーム倍率重視のSEL18200
- 動画なら強いSELP18105G
というキワモノ軍団から選ぶか、諦めてキットレンズのSELP1650を使い続けるかという碌な選択肢がない状態だった。
至極真っ当かつ無難な標準ズームレンズとしては初めてと言ってもいい存在で、このレンズの登場によって静止画向けの標準レンズの選択肢はほぼ固定化されたと言って良い。
とりあえずこれ買っとけ。
未だ競合が現れない絶妙な性能
このレンズの登場以降もサードパーティからズームレンズが発売されているが、(キットレンズとして安価に大量供給されているレンズと張り合うのは無理なので)このレンズを避けるような製品ばかり出てきて競合が存在しない状況が長らく続いている。(画質だけでいうとタムロンの18-300mmが同等らしいが、あれはかなり大きい。)
キットレンズとして
α6400以上の機種にはキットレンズとして採用されている。もう一つのキットレンズであるSELP1650が「写真を撮るという事に初めて興味を持った人」向けの小型軽量レンズといった特徴を持つのに対し、こちらはカメラ経験者やスマホやコンデジから移行してきた人に向けたレンズといった印象。
見た目
簡素、といった言葉がしっくり来る。スイッチはAF/MF切り替え一つだけで、フルフレームEマウントにありがちな途中からレンズ直径が太くなるような事も無くレンズ単体で持ち運ぶのも楽。
SELP1650とは比較するとかなり大きいが、これでも他社の同等レンズよりは小さくて軽いらしい。
キットレンズなので…
防塵防滴ではない。もちろんすぐに壊れるわけではないので安心してほしい。筆者は旅行中にこのレンズにみたらしをべっとりとこぼしたことがあるが、ズームレンズを動かしたときにザラザラと音がするようになった程度でその後も正常に動いているし、多少小雨に当たってもすぐに拭けば問題はなかった。(後で点検するという前提ではあるけど。)
使用感
「あなたの撮りたいもの、だいたい何でも撮ってみせます。」という万能ぶりがこのレンズ最大の売り。
AFも未だ現役で、後発機に搭載されたリアルタイムトラッキングにも対応できるだけの性能がある。
なんでもできます。
風景から鳥まで、高倍率ズームの持つ守備範囲の広さと実用的な性能(画質・操作性、大きさ)を兼ね備えている。
テレ端は35mm換算200mmなので、近づくと逃げるような被写体でも積極的に狙える。
逆に風景も行ける。明るいレンズではないが、手ぶれ補正も搭載しているため暗いところでも積極的に使える。
できないこともあります。
とは言うものの、テレ端135mmは運動会のような行事や本気で鳥を撮りたい場合にはまだ足りない。広角端28mmも雄大な風景を切り取るには画角が狭い。
「野鳥の撮影では300mmは広角扱い」という話を聞いたことがある。
そのため明確な目的があるならそれに特化したレンズを買った方が良い。
ボケは望遠側であればそこそこの大きさだが、このレンズはむしろ絞ってくっきり写した方が良い気がしている。
総評
「なんでもできるが故に撮ってて面白くない」という優等生レンズ。
ズーム倍率が高いから画質が悪いというわけでもないし重たくもない。でも単焦点レンズや高価なレンズのような「使いこなせて楽しい」というような感覚も無い。
望遠も広角も特化したレンズほどの画角が使えるわけではないではないし、ボケの量も単焦点レンズには敵わない。
しかし小型軽量でありながら、この焦点域と画質・機能が丁度良くまとまっているレンズというのもなかなか無い。
Eマウントレンズの最初で最後の1本としても、いざという時の万能選手としてもおすすめしたい。